『ボーイズ・オン・ザ・ラン』観てきました

 黒川芽以めあてで。
 以下ネタバレありです。
 かの方は確かに「可愛いけどバカでヤな女」を演じておいでで、大きなハードルがあったことなど微塵も感じさせない素晴らしい演技を見せていただけます。ある意味、この映画の根幹ともいえる存在ですから、かの方の存在感がなければそれこそ作品が「漫画」になってしまいます。これだけの大役を果たされる実力は、まさに女優と呼ぶにふさわしいものでしょう。
 なので、あれほどひどい仕打ちを続けるちはるでも、それが不器用さ故の悲しい結果であったことが分かるラストで感動させられてしまうわけです。あんなに悲しくて思いの込められた「フェラチオ」という台詞はこの映画の中にしか存在しません。
 例によって原作は未読な私が言うのもおかしな話ですが、細部の変更も多いうえ最後までは映画化されていない筈なのに実に理想的な映画化であったような気がします。
 もはや感想を述べるというレベルですら論理破綻を繕えないのはいつものことですが、いわゆる原作の精神を紡ぎ直して一つの作品にまとめてあるという点では素晴らしく成功しているように思えます。
 本当に、原作を読んでいない者が何を語るのかと自分でも着地点が見えませんが、全てはあのラストシーンが象徴しているのではないかと。つまりは、かっこ悪くても走り続ける事のかっこよさ(この辺りに、かの方が言うところの『男性目線』が象徴されているのかも…)さえ押さえておけば原作の最終巻まで映画化しなくても魂は伝わると。そういう信念が、作り手の側にあったように感じます。
 で、そのかっこ悪さを描く為、もう、リアルすぎるほど情けないので「なぜ俺の私生活がばれているのか」と思ってしまうくらい主人公に感情移入している身としては、笑ってしまえばよい場面で泣いていました。
 もちろん、ちはるを襲ってしまわないように自らを拘束台に縛り付ける不器用な純朴さや自分の為に青山を殴りに行く強さを見せる映画的展開で「田西は俺だ」などという勘違いからは解放されるわけですが、それ以外の部分は徹底的にリアル情けないので主人公の感情の動きがドキュメンタリーと同じぐらいに胸に迫るのです。その点では、今回この監督が起用されたのも実に自然な成り行きだったのでしょう。
 それらの積み重ねの上に最後の疾走があるおかげで完全に敗者のお話でありながらも映画としての気持ちよさがあるのですから、良い意味できちんと「マンガ」に仕上がっていると思うのです。
 映画としてマンガとして成立する為の最後の一歩を際立たせる為に徹底したダメ人間ぶりが必要な作品で、かの方の演技力が求められたのですから、きつかった現場も更なる新境地を開く足がかりになったことは確かでしょう。そういう頑張りは共演者の方にも伝わっていたようで、かの方をパンフレットでYOUさんが褒めていたりします。
 また、邪なファンとしては、三浦監督をして「なんか、生々しい体型なんですよねぇ(笑)」と言わしめた、かの方の絶妙なプロポーションも作品を成功へと導いた一因であると明記しておかねばならないでしょう。
 そういえば、ヨコシマンとしては、かの方の下着姿とかブラチラとか食い付くべき部分はたくさんあった筈なのに、そういう場面よりも心情の流れの方が印象に残る、そんな映画としての力にあふれた作品でした。

ボーイズ・オン・ザ・ラン
UK PROJECT
2009-12-02
銀杏BOYZ

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